【起業の会計税務Q&A】開業費について
- 2012.03.27
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Q 開業費の取扱いについて教えて下さい
A 法人の場合、法人が設立されてから営業が開始されるまでに支出した費用を開業費と呼びます。
個人の場合は、営業が開始されるまでに支出した一切の費用を開業費と呼びます。
なお、会計上と税法上とでは、開業費の範囲が異なるので注意が必要です。
<開業費の範囲(会計上)>
会社成立後営業開始までに支出した開業準備のための費用をいいます。
(例)
✔ 土地・建物等の賃借料
✔ 広告宣伝費
✔ 通信交通費
✔ 事務用消耗品費
✔ 支払利子
✔ 使用人の給料
✔ 保険料
✔ 電気・ガス・水道料等
<開業費の範囲(税法上)>
(法人)
会社成立後営業開始までに特別に支出した開業準備のための費用をいいます。
(個人)
個人事業を開始するまでに特別に支出した開業準備のための費用をいいます。
(例)
✔ 特別に支出した開業準備のための広告宣伝費・調査費(開業チラシ・パンフ・印鑑・名刺・旅費交通費など)
✔ 特別に支出した開業準備のための接待費(店舗設計等の打合せのための食事代など)
✔ 許認可がないと営業を開始できない業種の場合の許認可取得費用
※賃借料・給料・光熱費等は経常的な費用として、法人税法上は開業費として繰延資産に計上することは認められません。個人事業主の場合は、繰延資産に計上することができます。
※固定資産の取得のための費用や前払的な費用は、開業費には含まれません。
※事務所・店舗を賃借する際に支払った敷金・保証金(退去時に返還されるもの)は、開業費には含まれません。
<仕訳>
(原則)
『中小企業の会計に関する指針』では、原則として費用処理することとされています。
開業費(営業外費用) ×××円 / 現預金 ×××円
(任意)
ただし、法人・個人事業主が任意に繰延資産として資産計上した場合にはこれも認められています。
この場合、会社成立後・個人事業開始後5年内に、月割計算により相当の償却をしなければなりません。
①支出時
開業費(繰延資産の部) ×××円 / 現預金 ×××円
②決算時
開業費償却(営業外費用) ×××円 / 開業費(繰延遺産の部) ×××円
なお、税法上は任意償却が認められていますので、初年度に全額償却することも可能です。
<ワンポイントアドバイス>
会計ルールに従って、初年度に費用処理(営業外費用)するのがよいでしょう。
ただし、創業初年度はただでさえ多額の費用が発生し、赤字になるケースが多いです。
数年にわたって開業費の費用化を繰り延べることで、費用・利益の平準化が図られ、節税につながる場合があります。
初年度と2年目以降の数字実績・計画を考慮して、最終的な判断をするのが賢明です。
※なお、法人税法上、開業費は『特別に』支出したものに限定されているため、繰延資産に計上する際の費用の範囲にはご注意下さい。初年度に全額費用処理する場合は特に問題ありません。
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